ローマン・ヘルツォーク研究所は17日、ドイツの所得格差に関する調査報告書を発表した。それによると、ドイツ統一後の1993年から2009年までの低所得層(所得中央値の70%未満の世帯)の割合はほぼ2割で一定している。また、高所得層(所得中央値の150%以上の世帯)は16~19%、残る中間所得層も60~67%の間で変動しており、「低所得層と高所得層が拡大し、中所得層が縮小している」との仮説は実証できなかったとしている。
\調査はローマン・ヘルツォーク研究所の委託を受けてドイツ経済研究所(IW)が実施、IWはドイツ経済研究所(DIW)が作成する「社会経済パネル(SOEP)」のデータに基づいて分析を行った。
\低所得層が人口に占める割合は1993年には21%で、2000年まで減少傾向が続いていたが、01年からはじわじわ上昇に転じ、09年にはほぼ93年の水準の21.7%となった。中所得層は01年以降、減少傾向が続いていたものの、世界的な不景気の直撃を受けた09年には高所得層が減少したこともあり、前年比0.6ポイント増の61.5%に増加している。
\調査はまた、「低所得層が上層にはい上がることはほぼ不可能」とする世間一般の見方についても「必ずしも当てはまらない」と指摘した。ドイツで1999年から01年の間に低所得層から中・高所得層に移行した人の割合は32.4%で、スペイン(40.4%)、デンマーク(39.5%)に比べると低いものの、OECD(経済協力開発機構)の先進17カ国平均(34.0%)や米国(33.4%)とほぼ同じ水準という。
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