欧州独自の全地球測位システム「ガリレオ」に使用される衛星の製造を請け負う独OHBシステムが18日、ベリー・スムトニ最高経営責任者(CEO)を無期限停職処分にしたと発表した。機密情報公開サイト「ウィキリークス」により、同CEOがガリレオ計画を「馬鹿げた構想」と痛烈に批判したことが発覚したことを受けた措置。ガリレオ計画にトラブルが続き、実施が遅れていることを改めて浮き彫りにした格好だ。
\ウィキリークスが入手し、ノルウェーの「アフテンポステン」紙が掲載した在ベルリン米大使館の公電によると、同CEOは2009年10月、同大使館の職員に対し、「(ガリレオは)馬鹿げた構想だ。フランスの国益にかなうものでしかない」と発言。さらに、「域内納税者のカネを無駄にしている」とも述べていた。OHBの広報担当者は、「当社としてはCEOを信じているが、(この一件で)当社の評判が受けた損害はあまりに大きい」と、処分の理由を説明している。OHBシステムは初期発注分のガリレオの衛星14基を請け負っており、契約金額は5億6,600万ユーロに上る。
\ガリレオは、米国が1980年代に開発した全地球測位システム(GPS)に依存している現状を打破するため、EUが2014年の稼働開始を目指して開発している民生用の測位システム。最大32基の衛星で構成され、測位精度はGPSの10メートルをしのぐ1メートル以内とする計画だ。ただし、資金難や運営方針をめぐる加盟国間の対立などから計画が頓挫する危機にも陥り、当初2008年に予定されていたサービス開始は、2014年からに延期されている。また、延期によるコストの増大で、当初は34億ユーロと見積もられていた総事業費は、最終的には200億ユーロを上回ると見込まれる。
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