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2011/2/2

経済産業情報

高齢者在宅生活支援システムの開発進む

この記事の要約

ITシステムを活用して高齢者の自立した生活を支援する「生活補助環境」(Ambient Assisted Living:AAL)への関心が高まっている。フラウンホーファーAAL研究所の関係者によると、今後10年ほどで実用化 […]

ITシステムを活用して高齢者の自立した生活を支援する「生活補助環境」(Ambient Assisted Living:AAL)への関心が高まっている。フラウンホーファーAAL研究所の関係者によると、今後10年ほどで実用化できる見通しだ。1月25日付『ヴェルト』紙が報じた。

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AALのコンセプトはITネットワークを通して高齢者を医療介護・記憶障害(認知症)・福祉の観点から総合的にサポートし、安全で人間らしい日常生活を実現するというもので、応用範囲は幅広い。医療・介護面では転倒センサーや、心拍数・呼吸の異常などを感知して病院に連絡する警報システム、困った時や助けが必要な時に無線で連絡できるナースコールなどがある。将来的には、布地に織り込んだウェアラブルセンサーで様々なバイタルサインをモニタリングすることも夢ではない。また、音声操作で移動が可能な電気車いす、対話型コミュニケーション端末による生活支援などの研究も進められている。

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認知症サポート面では薬の飲み忘れ、火の消し忘れ、鍵の閉め忘れなど家の中の行動をセンサーがキャッチし、薬を飲むよう促したり自動的に施錠するといった技術が研究されている。

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また社会生活面では、マルチメディアを活用してシニア向けサービスやイベント情報を伝えることで、家に閉じこもりがちな高齢者の社会参加を促進。孤独感を解消することを目指している。

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高齢化の進行に伴いAAL市場は確実に成長する見通しで、連邦教育研究省(BMBF)はAALプロジェクトを積極的に支援している。世界に一歩先んじる考えだ。

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ただ、現在はメーカーや研究機関がそれぞれ独自の規格でシステム研究・開発を進めており、異なるシステム同士をネットワーク化することはほとんどできない。このため、フラウンホーファーAAL研究所のライナー・ヴィッヒャルト研究員は、規格の標準化が実現に向けた大きな課題だと指摘する。

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