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2011/2/9

企業情報

ACS―HochtiefへのTOBで目標達成―

この記事の要約

スペインの建設大手ACS(マドリード)は3日、独同業Hochtiefに対する株式公開買い付け(TOB)などで出資比率を従来の27.25%から33.49%へと引き上げ、目標の30%超を確保したと発表した。今後は市場を通して […]

スペインの建設大手ACS(マドリード)は3日、独同業Hochtiefに対する株式公開買い付け(TOB)などで出資比率を従来の27.25%から33.49%へと引き上げ、目標の30%超を確保したと発表した。今後は市場を通してHochtief株を買い増して50%超に拡大。独社を子会社化し、世界最大のインフラ企業を構築する考えだ。

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ACSはHochtiefの筆頭株主で、9月に買収計画を発表した。当初のTOB条件はACS株8株につきHochtief株5株を割り当てるというもので、Hochtiefを1株当たり約56ユーロと評価していたが、株主の反応が低調だったため、ACS株9株につきHochtief株5株へと条件を改善。Hochtiefへの評価を1株当たり64.49ユーロへと引き上げた。これを受け、Hochtiefの第3位株主である投資会社Southeastern Asett Managementが保有株の約半分をACSに売却する意向を表明するなど、ACSの思惑通りに事態が動き出した。ACSはこのほか、市場を通して計2.6%を買い増しており、出資比率を約33.5%へと引き上げることに成功した。

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ACSが今後、市場を通してHochtief株を買い増し過半数株を取得する計画はすでに独当局から承認されており、同社は株価が下落した時機を適宜利用して出資比率を徐々に引き上げていく意向だ。ロイター通信によると、Hochtiefは自社の株価を引き上げる戦略を実行し、ACSの買収計画を阻止する考えという。

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ACSがHochtief買収をいつ実現できるかは定かでない。90億ユーロ強の巨額債務を抱えるうえ、最近はスペインのエネルギー大手Iberdrolaへの出資比率を20%超へと引き上げており、手持ちの資金が少ないとみられるためだ。

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一方、市場関係者の間では5月12日に開催されるHochtiefの株主総会に関心が集まっている。全株主が総会に出席することはあり得ず、ACSは決議で過半数を確保できる可能性があるためだ。その場合、同社は買収計画に反対するHochtiefの監査役と取締役を更迭するとみられる。

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