スイスの製薬大手Roche(バーゼル)が2日発表した2010年12月期決算の売上高は474億7,300万スイスフランとなり、前期から3%減少した。スイスフラン高のほか、インフルエンザ治療薬「Tamiflu」の販売激減と同社最大のがん治療薬「Avasin」の売上成長鈍化が響いた。
\本業のもうけを示す営業利益は10%増の134億8,600万フランと拡大した。比較対象の09年12月期は米バイオ大手Genentechの完全子会社化に伴うコスト(27億フラン)が利益を強く圧迫していたという事情があり、この要因を除くと減益となった格好だ。最終利益は88億9,100万フランで、前期から4%増加した。
\Tamifluの売上高は23億フラン減の約9億フランへと落ち込んだ。新型インフルエンザの流行がなく、需要が急速に減少したためで、同社は今年、最悪3億フランまで低下するとみている。
\Avasinは乳がん治療薬としての仮承認を米当局から抹消されため、売上高が当初予想を下回る65億フランにとどまった。Rocheは同薬のピーク時の予想年商を従来の90億フランから70億フランへと引き下げている。
\今年は為替要因とTamifluを除いた売上成長率が5%未満となり、2010年の5%から低下する見通し。先進諸国が医療費の削減に取り組んでいることなどが響く。
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