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2011/2/9

経済産業情報

ビール消費減少の犯人は「外国人」

この記事の要約

ビール消費の減少にいつまでたっても歯止めがかからないドイツ。連邦統計局が先ごろ発表したデータでは2010年は前年比2.9%となり、4年連続で落ち込んだ。ビール王国バイエルンも例外でなく、3.2%も後退している。\ ビール […]

ビール消費の減少にいつまでたっても歯止めがかからないドイツ。連邦統計局が先ごろ発表したデータでは2010年は前年比2.9%となり、4年連続で落ち込んだ。ビール王国バイエルンも例外でなく、3.2%も後退している。

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ビール業界にとっては切実な問題である。このままではじり貧ではないか。ということで、業界団体バイエルンビール醸造連盟は原因を分析。ついに「本当の原因」を突き止めた。

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ミュンヘンの地元紙『アーベントブラット』が同業界団体の文書をもとに報じたところによると、人口減少のほか、「ビールへの親近感がバイエルン人に比べて著しく低い移民的背景を持つ市民の増加」が諸悪の根源とのこと。

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「ビールへの親近感が低い移民」と聞けば、ドイツであれば大抵の市民は飲酒厳禁のイスラム教徒を思い浮かべる。ワイン民族のフランス人をイメージする人はほとんどいないだろう。

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「これってひょっとしてイスラム教徒排斥の隠微な表現では?」ということで、アーベントブラット紙が問い合わせたところ、同連盟の専務理事はこれまた驚くべき回答をのたまわった。

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「ミグレーションとは言うまでもなく引越しであり、ドイツ国内の移住も含まれる。ビールに対する真のバイエルン人の関係は他の文化圏とは異なる。例えば(北ドイツの)ニーダーザクセン人やヴェストファーレン人とは」。

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…つまるところ、ベルリンやデュッセルドルフなどバイエルン外部から引っ越してきた人間はたとえドイツ人であっても「外国人」「移民」でしかないということである。州の正式名称を「バイエルン自由国(Freistaat Bayern)」としているお国柄とはいえ、業界団体の役員がそこまで言うのはどうしたものか。

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この回答はアーベントブラット紙の記者も想定していなかったようで、「移民審査の際に『ビールを1日1.5リットル以上飲む』ことを調べるべきだと主張する政治家が出現するのは時間の問題だろう」と皮肉っている。

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