世界最大の国際玩具見本市が3日~8日の6日間、ニュルンベルクで開催された。62回目の今回は63カ国から前年を58社上回る2,683社が出展、新作7万点を含む約100万点が展示された。会場は16万平方メートルの展示スペースが全てふさがる盛況ぶりで、期間中の来場者数は7万9,000人と、主催者側の予測(7万6,000人)を大きく上回った。また見本市への満足度も高く、出展者の92%、来場者の87%が「来年も参加したい」と回答している。
\コンピューターゲームなどエレクトロニクス玩具の人気が急速に拡大するなか、模型やぬいぐるみなどを手がける昔ながらの玩具業界は、デジタルと伝統を融合させた新製品の開発に力を入れている。老舗メーカーのラーヴェンスブルガーが開発したペンシル型のスティック「tiptoi」は、専用の絵本やゲーム、地図をスティックの先でつつくと音や説明を聞けるのが特徴で、昨年のクリスマスシーズンにはドイツ語圏での販売で計20万本のヒット商品となった。同製品は中国で生産しているため予想を上回る人気に対応しきれず、早々に品切れになってしまったという。
\玩具メーカーの多くは中国に生産拠点を置いているが、◇輸送費・人件費の高騰◇有害物質の含有など安全性の問題◇輸送に時間がかかるため需要の変化に柔軟に対応できない――などデメリットが強まりつつある。また、高価格でも安心して与えられるおもちゃを求める親が増えていることを追い風に、ドイツをはじめとする欧州での生産を重視するメーカーも少なくない。ミニチュアトラックメーカーのBruder(フュルト)は部品生産から組み立てまでをすべてドイツで行う。工場はほぼフル稼働の状態で、2010年売上高は5%増の5,100万ユーロに拡大。売上全体の6割は国外向けで、同社は世界60カ国に製品を輸出しているという。ラーヴェンスブルガーも「顧客のニーズに速やかに対応できるよう」、tiptoiなど一部の例外を除き製品を国内で生産している。
\今年の見本市では環境に配慮した「エコ玩具」に大きな関心が集まった。一方、バイエルン州当局が展示された新製品のうち2,000点を対象に抜き打ち検査を行ったところ、6分の1に当たる312の製品で品質や安全性に問題があった。「前年(4点に1点)に比べれば数は減ったものの、あくまで一部の製品による抜き取り調査のため、全体的に品質が向上したとは言い切れない」と懸念を表明。問題が見つかった製品については展示場から撤去させる処分を行った。
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