経営上の理由で整理解雇を実施する場合、解雇の予告から実施までに一定以上の期間(解雇予告期間)を設けなければならない。「明日から来なくていいよ」がまかり通ると、被用者が著しく不利な立場に立たされるためだ。では、解雇予告期間は長ければ長いほど被用者に有利で好ましいのかというと、必ずしもそうではない。今回はこの問題をシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が昨年11月に下した判決(訴訟番号:5 Sa 251/10)に即してお伝えする。
\裁判を起こしたのはリューベックにあるメーベンピックグループのホテルに勤務するセールスマネージャー。同社は2009年12月、リューベックのホテルの賃貸借契約を2012年12月末日付で解消することを理由に、同ホテルの全従業員に同日付の解雇を通告した。これに対し原告は、従業員をドイツ国内の他の場所にあるホテルに転勤させることも検討せずに解雇を通告したのは不当だとして提訴した。
\第1審のリューベック労働裁判所は解雇無効を言い渡し、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は整理解雇が認められるのはそれが不可避の場合に限られるとした解雇保護法1条2項の規定を指摘。解雇予告期間が2年を超える今回のようなケースでは解雇予告の時点で解雇が避けられないと断定することはできないとの判断を示した。
\