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2011/2/16

経済産業情報

時間を守れない鉄道会社

この記事の要約

時間厳守(Puenktlichkeit)はドイツ人の美徳である。被用者の権利が手厚く保護されているにもかかわらず、こと遅刻に関しては解雇の正当な理由として認められているくらいだから、筋金入りと言っていいだろう。\ ドイツ […]

時間厳守(Puenktlichkeit)はドイツ人の美徳である。被用者の権利が手厚く保護されているにもかかわらず、こと遅刻に関しては解雇の正当な理由として認められているくらいだから、筋金入りと言っていいだろう。

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ドイツにはしかし、この伝統ある価値観を守らないことで有名な企業もある。国有のドイツ鉄道(DB)である。5分以内の到着の遅れは遅刻に当たらないと言い切っているのだから、もはや開き直りとしか思えない。

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では、この「5分猶予ルール」であれば、定刻到着率が高いのかというと、これまた「?」マークがついてしまう。

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寒波と大雪で交通が全国的に麻痺した12月。DBが監督官庁の連邦経済省に提出した報告書には「定刻到着率が日によって70%を下回ることがあった」と書かれている。あのときの積雪はたしかに凄まじかったから、これは「DBとしては善戦かな」と思える数字である。

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だが、実際のところ、報告内容はかなり粉飾されているようである。消費者の味方ともいうべき商品テスト財団(Stiftung Warentest)が全国の主要駅20カ所を対象に長距離列車の定刻到着率を調べたところ、12月の平均はなんと32%に過ぎなかったのだ。最低は14%。最高も56%にとどまっており、70%を達成した日などそもそも1日もない、、、。

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特にひどいのはドイツが誇る高速鉄道ICEで、全体の4分の1が30分以上、遅れて到着したという。日本の鉄道会社を見習って、たとえば運転手に指差喚呼(しさかんこ)を義務づけたなら、少しは改善するのだろうか。

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