エタノールを10%混合したガソリン(E10)の販売が今年から始まったドイツで、消費者の間に混乱が広がっているようだ。独ガソリン販売最大手Aralのシュテファン・ブローク社長は10日の記者会見で「多くのドライバーがマイカーにE10を給油できるかが分からず戸惑っている」と発言。政府、メーカー、業界団体のいずれも周知徹底に向けて十分な活動を行っていないと批判した。これに対し独自動車工業会(VDA)は、「何週間も前から非適応モデルのリストをウェブ公開している」などと反論している。
\E10の販売は欧州連合(EU)指令(2009/30/EG)に基づくもので、二酸化炭素(CO2)の排出量削減のほか、枯渇が懸念される石油資源への依存度を引き下げる狙いがある。同燃料の販売に関する政令の成立が昨年12月と遅かったため、ガソリンスタンドの給油体制は整っておらず、Aralでは現在、取扱店が全国2,500店のうち数百店に限られる。
\業界団体によると、ドイツで車両登録されているガソリン車のうちE10に対応しないのは1割程度。ただ、E10対応車かどうかをドライバーが知るにはメーカーやディーラーに問い合わせなければならない。ガソリンスタンドで店員に尋ねるドライバーも少なくないが、Aralのブローク社長によると「ガソリンスタンドは(非対応車にE10を給油して事故になった場合など)法的責任を問われる情報を提供できない」ため、回答できないという。
\ブローク社長はまた、E10の普及促進に向け、価格を大きく引き下げる方針も明らかにした。現在のところE10と非混合ガソリンの価格差はリッター当たり5セント程度だが、「値段の違いが目立たなければ誰も買わない」ため、E10を値下げして給油するドライバーを増やす考えだ。価格差を長期的に維持するかは今後の成り行きを見極めたうえで決定するとしている。
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