連邦政府と州政府の代表は21日、求職者基礎保障制度(いわゆる「ハルツ4」)の一般給付金(Regelsatz)引き上げなどで合意した。今後は両院協議会の決議を経て25日の連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で可決され成立する見通しだ。
\ハルツ4は2005年に導入された。その骨子は長期失業者と就労能力のある生活保護受給者を対象に新たに「第2種失業手当」を設置したうえで、給付水準を従来の生活保護よりも低く設定するというもので、政府はこれにより就労の促進を狙った。
\手当は食費や衣料費、交通費、娯楽費などからなる一般給付金と家賃・暖房費給付金の2種類で構成されており、合計の給付額は世帯の構成人数、子供の年齢などにより異なってくる。カール・ブロイヤー研究所が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の委託で行った調査によると、独身の場合は現在、一般給付金が月359ユーロで、家賃・暖房費を合わせた総支給額は平均637ユーロとなっている。子供が2人いる4人家族では総支給額が平均1,653ユーロに上る。
\これらの額は連邦統計局が5年に1度実施する市民アンケート調査をもとに算定・改定される。また、子供の一般給付金は成人よりも額が低く、6歳以下は215ユーロ(成人の60%)、7~14歳は251ユーロ(同70%)、15歳以上は287ユーロ(80%)となっている。
\このルールについて連邦憲法裁は昨年、金額の算定方法が恣意的だと指摘。特に子供については授業でノートや計算機などを必要とするにもかかわらず、教育関係の出費が一般給付金にまったく組み込まれていない点を強く批判した。そのうえで、支給額の決定に当たっては日常生活で最低限度必要とする費用を現実に即して計算し、分かりやすく市民の納得がいくような支給額の算定ルールを2011年1月までに施行するよう命じた。
\連邦政府はこれを受け新しい算定方式を検討し、◇大人の給付額を1月から月当たり5ユーロ引き上げ364ユーロとする◇子供には授業に不可欠な文房具の支給や、学力向上・人格形成のうえで重要な補習、スポーツクラブ・文化的イベントなどへの参加支援を行う――方針をまとめた。
\同方針は連邦議会で12月の連邦議会で可決された。だが、州の代表からなる連邦参議院では過半数票を握る野党が反対し法案成立のメドが立たず、国と州の代表はこれまで妥協に向けて協議を続けてきた。
\今回の合意では◇大人の給付金を今年1月にさかのぼって5ユーロ引き上げ、来年1月にも3ユーロ引き上げる◇子供向けの支援総額を政府方針よりも11億ユーロ引き上げ16億ユーロとする――ことが取り決められた。
\国と州はこのほか、警備・職業教育・派遣労働業界に最低賃金を導入することでも合意した。
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