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2011/2/23

経済産業情報

岩塩鉱跡がエコ電力の新たな蓄電池に

この記事の要約

エネルギー大手のRWEを中心とするコンソーシアムが「断熱改良型圧縮空気エネルギー貯蔵技術(AA-CAES)」を利用した世界初の発電試験プラントを建設する。余剰電力で空気を圧縮して貯蔵するとともに、従来方式(CAES)では […]

エネルギー大手のRWEを中心とするコンソーシアムが「断熱改良型圧縮空気エネルギー貯蔵技術(AA-CAES)」を利用した世界初の発電試験プラントを建設する。余剰電力で空気を圧縮して貯蔵するとともに、従来方式(CAES)では利用されずに捨てられていた圧縮熱も回収して発電時に利用。エネルギー変換効率を大きく改善する。12年までに具体案を策定し、13年に着工する意向だ。

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試験プラントが建設されるのはザクセン・アンハルト州中部のシュタスフルト市。古くから塩の産地として知られる同地の周辺には岩塩ドームと呼ばれるドーム状の岩塩鉱床が形成されている。自然の岩塩ドームを作る岩塩層には浸透性がないため、天然ガスなど高圧気体の貯蔵に非常に適している。また◇岩塩採掘後の空洞をそのまま空気貯蔵施設として活用できる◇風況の良い地域のため風力発電が盛んで、プラントに利用する電力が得やすい――ことも決め手となった。

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CAESはAA-CAESのベースとなる技術で、風力発電などの余剰電力で空気を圧縮して地下の貯蔵施設に高圧で貯留、電力ピーク時にこの空気をタービンに送り発電する。世界では米アラバマ州マッキントッシュと独ニーダーザクセン州フントルフの2カ所で稼働している。

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CAESには気体が断熱圧縮するときに発生する圧縮熱を利用せずに排熱してしまう問題があるため、圧縮空気を再び膨張させる際にエネルギーを外部から供給せねばならず、実質的なエネルギー変換効率は最大55%にとどまる。一方、AA-CAESではこれまで捨てていた熱を回収し、発電時に空気に戻すことで必要な外部エネルギーが最小限に抑えられるため、効率を70%まで高められるという。

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発電プラントの建設は断熱圧縮空気貯蔵技術を利用した発電プロジェクト「ADELE」に基づくもので、連邦経済技術省から資金援助を受けている。コンソーシアムのメンバーはRWE Power、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、建設大手Ed.Zueblin、独航空宇宙局(DLR)、Erdgasspeicher Kalle(ESK)、Ooms-Ittner-Hofの6機関。

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