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2011/2/23

経済産業情報

独外務省、オープンソースからマイクロソフトに逆戻り

この記事の要約

ドイツの国政機関として初めてオープンソースソフトウエア(OSS)を導入した外務省が、省内のデスクトップシステムをマイクロソフトの製品に戻していた。野党・社会民主党(SPD)が政府に提出した質問書(Kleine Anfra […]

ドイツの国政機関として初めてオープンソースソフトウエア(OSS)を導入した外務省が、省内のデスクトップシステムをマイクロソフトの製品に戻していた。野党・社会民主党(SPD)が政府に提出した質問書(Kleine Anfrage)への回答で明らかになったもので、政府は職員研修などの費用や手間暇を踏まえるとOSS導入のメリットはほとんどないためと説明している。

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外務省は緑の党のフィッシャー議員が外相だった2001年、サーバーの基本ソフト(OS)でリナックス導入を開始。05年にはクライアントPCでも「Firefox」(ブラウザー)、「Thunderbird」(メールソフト)、「OpenOffice」(オフィス統合ソフト)といったOSSを採用し始めた。クライアントOSはモバイルパソコンではリナックスを採用し、デスクトップパソコンはマルチブート式にしてウィンドウズとリナックスの両方が使えるようにした。2007年には、社会民主党(SPD)のシュタインマイヤー外相(当時)が「世界中にITインフラが分散しているという不利な条件にもかかわらず、職員1人当たりITコストは連邦政府省庁のなかで最も低い」と述べ、同省の取り組みを高く評価していた。

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風向きが変わったのは自由民主党(FDP)のヴェスターヴェレ党首が外相に就任してからで、外務省は昨年8月、システムを近代化するとして、クライアントPCのソフトをOSSからマイクロソフトの製品に切り替え始めた。『南ドイツ新聞』によると、省内のクライアントPC1万1,000台のうち、リナックスがインストールされているのは2,900台にまで減っている。

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SPDはIT専門サイトheise onlineの取材に対し、「なぜウィンドウズに戻したのか、その理由がうやむやだ。また、実際にどの程度コストが削減できたのか正確な数字を出していない」として、政府回答に不満を表明。さらに追及する方針を明らかにした。

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