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2011/3/2

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇訴訟中の社用車の取り扱い

この記事の要約

社用車の私的利用を認めてきた社員を即時解雇した場合、会社は社用車をすみやかに返還するよう要求できる。雇用関係が解消されたのだから、これは当然だろう。では解雇を不服として社員が訴訟を起こした場合はどうなるのだろうか。判決が […]

社用車の私的利用を認めてきた社員を即時解雇した場合、会社は社用車をすみやかに返還するよう要求できる。雇用関係が解消されたのだから、これは当然だろう。では解雇を不服として社員が訴訟を起こした場合はどうなるのだろうか。判決が確定するまでは解雇が有効とならないため、社員は引き続き利用できるのだろうか。この問題についてシュツットガルト労働裁判所が昨年5月に判決(訴訟番号16 Ga 50/10)を下していたことが、ドイツ弁護士会労働法部会のプレスリリースで分かったので、ここで紹介する。

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詳細は明らかにされていないが、原告は即時解雇の撤回を求めて提訴。また、社用車の返還を求める会社側の要求に対しては保全訴訟を起こして、本案訴訟が確定するまで利用する権利を獲得しようとした。

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シュツットガルト労裁はこの保全訴訟で原告に対し社用車の返還を命じた。判決理由で裁判官は、本案訴訟の判決が下るまでの期間、解雇は「暫定的に有効」なものとして取り扱われると指摘。裁判で解雇無効が確定した場合は、社用車を利用できなかったことについて損害賠償を請求できるとの判断を示した。

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