インドの鉄鋼大手Tata Steelが高級鋼材の分野で欧州市場の攻略を本格化する。品質向上と安定価格を武器に自動車メーカーから契約を獲得。市場を支配する欧州メーカーを追撃する意向だ。欧州子会社Tata Steel Europaのカールウルリヒ・ケーラー社長が独『ハンデルスブラット』紙に対し明らかにした。
\自動車鋼板は薄さや安全性など技術的なハードルが高く、欧州ではArcelor-Mittal、Thyssenkrupp、Salzgitter、Voestalpineの4社が市場を抑えている。技術力に劣るTata Steel Europaは自動車メーカーからの長期契約獲得で苦戦。売り上げの約半分をスポット取引や短期契約が占めている。同社はこうした現状を改めたい考えで、売り上げに占める自動車メーカーとの取引の割合を中期的に現在の18%から25%へと引き上げ、長期契約の対売上比率を65%に拡大する計画だ。
\目標達成に必要な技術力の向上については、英鉄鋼大手Corusの買収(2007年)と技術者の確保を通して布石を打った。今後は安定した価格で鋼材を提供し、自動車メーカーから受注を獲得していく。
\Tataグループはインド最大の鉄鉱石、石炭メーカーのため、Tata Steel Europaは競合企業よりも原料価格変動への対応能力が高く、これを武器にする戦略だ。値下げ競争を仕掛ける考えはないとしている。
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