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2011/3/9

経済産業情報

男女による保険料の違いは「性差別」=欧州裁

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は1日、性別によって保険料が異なることは不当との判断を示した(訴訟番号:C-236/09)。男女による保険料の格差は、物品・サービス分野における性差別を禁止したEU指令に抵触する […]

欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は1日、性別によって保険料が異なることは不当との判断を示した(訴訟番号:C-236/09)。男女による保険料の格差は、物品・サービス分野における性差別を禁止したEU指令に抵触すると指摘。男女共通の新たな保険料を2012年12月21日までに導入するよう保険業界に命じた。

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今回の判決のベースになっているのは、雇用・職業以外の分野における男女機会均等指令(2004/113/EC)だ。2003年に同法案を提出した欧州委員会は、性別による保険料格差は不当な差別に当たるとして同商習慣の撤廃を求めていた。

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これに対し保険業界は、性別によるリスク査定が禁止されれば、男女共に保険料を引き上げざるを得なくなるとして法案に反対。最終的に、性別による違いが統計的に裏付けられている場合に限り加盟国の判断で保険料格差を認め、一定の猶予期間を置いて段階的に撤廃していくという妥協案で落ち着いた経緯がある。

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ECJの裁判官は、当該の例外規定は期限が規定されておらず、このままでは性差別を禁じたEU基本法がなし崩しになる恐れがあると指摘。そのうえで、例外規定が適用された2007年12月21日から5年をもって猶予期間を終了するのが適切との判断を示した。

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消費者保護団体は今回の判決を歓迎。一方、保険業界は「混乱は避けられない」として強く反発している。

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