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2011/3/16

経済産業情報

自動車事故通報システムで保険業界内に対立

この記事の要約

欧州連合(EU)が2013~15年に本格導入予定の自動車事故自動通報システム「eコール」をめぐり、保険業界内で対立が起きている。自動車メーカーと提携する保険会社はメーカー系修理工場に事故車を運ぶようシステム設定したい考え […]

欧州連合(EU)が2013~15年に本格導入予定の自動車事故自動通報システム「eコール」をめぐり、保険業界内で対立が起きている。自動車メーカーと提携する保険会社はメーカー系修理工場に事故車を運ぶようシステム設定したい考え。これに対し修理工場を指定した保険商品を販売する競合は「指定外の工場で修理されると契約者の負担が増えて不利だ」と強く反発している。7日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が報じた。

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eコールは事故が起きると車内に装備された発信装置が衝撃を感知し、緊急サービスセンター(域内共通の112番)に車両の位置情報などを無線で自動通報する仕組み。緊急センターは送られた情報を元に迅速に救急隊を派遣することができ、従来に比べて事故発生から救助までの時間が大幅に短縮される。欧州委員会はEU全域でeコールが実用化された場合、年間に約2,500人の命を救うことができると試算する。

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FTDによると、現在のシステムでは、自動車メーカーは発信装置を車両に取り付ける際、故障やパンクなどのトラブル時の修理先として特定の修理工場を優先するようプログラム設定できる。これにより系列修理工場の稼働率を引き上げることができる。

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非メーカー系の保険会社が危惧するのは、自動車メーカーがeコールのシステムを利用し、事故車の契約している保険の種類に関わらず自社と提携する修理工場・保険会社に事故処理を依頼することだ。自動車保険大手HUK-Coburgの担当者は、修理工場の指定がある分保険料が割安な保険の場合は契約以外の業者が処理すると保険契約者の自己負担額が増えるため、顧客とのトラブルが避けられないと指摘。緊急時の修理工場をドライバーが自分で選択できるシステムに変更する必要があると強調する。

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欧州委はこの問題を踏まえ、近日中に関係者を招いて解決策を協議する意向だ。

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