食品スーパー大手のEdekaが、デビットカード(ECカード)決済手数料の引き下げで一部金融機関と合意に達したもようだ。食品業界誌『Lebensmittel Zeitung』の報道で明らかになった。決済手数料はこれまで20年以上にわたって維持されており、長年の商習慣に風穴が開いた格好だ。14日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が報じた。
\ドイツではECカードによる決済法として、利用者本人が署名する「ラストシュリフト」と、暗証番号を入力する「ec-cash」の2種類がある。EHI Retail Institutの調べによると、2009年の国内小売売上高に占めるデビットカード決済の割合は31.6%に上り、そのうちの6割強をec-cashが占めた。
\ラストシュリフトの場合、販売店側に手数料がかからないものの盗難カードによる不正使用でも気づきにくいなど、安全性に問題がある。一方、ec-cashは高い安全性が保証されるものの、小売店は手数料として1回の利用額が26.66ユーロまでは0.3%、それ以上については一律8セントを銀行に支払わなければならない。カルテル当局は当初、銀行のカルテルに当たる可能性があるとして難色を示したが、「キャッシュレス支払いシステムを維持するために必要」とする銀行サイドの主張を受けて黙認してきたいきさつがある。
\Edekaは今回、貯蓄銀行(Sparkasse)および信用協同組合(Volksbank)とこのec-cashの手数料を引き下げることで合意した。新たな料率は明らかになっていないものの、市場関係者はこれまでの水準を大きく下回る「0.2~0.25%」程度とみている。
\今回の合意が他の小売業者や民間銀行にも波及するかは不明だが、食品小売大手が料率引き下げに成功したことは銀行業界の痛手となりそうだ。同業界では携帯電話による支払いなど他のキャッシュレス決済を提供できる余地が少なくなるなどと危機感を強めている。
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