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2011/3/16

ゲシェフトフューラーの豆知識

マイカーで営業中の事故、雇用主に賠償責任がないケースも

この記事の要約

雇用主の同意を受けてマイカーで営業中の社員が交通事故にあった場合、企業は損傷した車両の賠償責任を負う。だから仕事ではもっぱら社用車を使わせた方が良いのだが、そうも言っていられない企業やケースもある。\ では、マイカーでの […]

雇用主の同意を受けてマイカーで営業中の社員が交通事故にあった場合、企業は損傷した車両の賠償責任を負う。だから仕事ではもっぱら社用車を使わせた方が良いのだが、そうも言っていられない企業やケースもある。

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では、マイカーでの事故が社員の単なる過失によるものだった場合も雇用主は賠償を行わなければならないのだろうか。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年10月に下した判決(訴訟番号:8 AZR 647/09)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは船舶・産業用部品を取り扱う商社の社員。同社では社員が業務でマイカーを利用することがごく普通に行われていた。

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原告社員は2007年5月9日、取引先から部品を受け取るためにマイカーで出かけた際に追突事故を起こした。車が大破したと主張して会社に損害賠償を請求。会社側が拒否したため提訴した。

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原告は事故を起こした際、警察を呼んで現場検証させることを怠った。このため、事故が発生した状況は明らかにされていない。原告はまた、事故を起こした時は最大時速15キロで走行していたと思うとあいまいな発言を行い、大破したマイカーは売却していた。

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BAGの裁判官はこうした事情を踏まえ、損害賠償を請求できるのは原告に重大な過失がなかった場合に限られると指摘。そのうえで◇追突事故は通常、追突した運転手の不注意ないし車間距離の取り方に問題がある◇追突時の速度が時速15キロであれば車が大破することはない◇現場検証の回避や事故を起こしたマイカーの売却を通して、重過失の可能性について誰も証明できない状況を作り出した――として、原告の訴えを棄却した。

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