組織再編などに伴い人員削減を実施する場合、企業は対象となる社員の経済的な損失を緩和するための補償措置を取らねばならない。事業所委員会(従業員の社内代表機関)がある場合は、事業所委員会と交渉してそうした措置を取り決める。これを社会的計画(Sozialplan)という。この社会的計画に基づく整理手当の請求権に関し最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年12月に判決(訴訟番号:1 AZR 279/09)を下したので、ここで紹介してみたい。
\裁判を起こしたのは大手企業Tの元社員。同社では2006年12月4日、組織再編に伴う条件交渉を経営陣と事業所委員会が開始することで合意し、協議を開始した。原告はその約2カ月後の07年2月4日に辞表を提出し、同3月31日付で退職した。
\一方、経営陣と事業所委員会は6月12日に社会的計画で合意。整理手当の支給などを取り決めた。
\原告の元社員はこれを受け、整理手当12万900ユーロの支給を要求して提訴した。その根拠として、引き続き雇用される可能性がないことを06年夏の時点で上司から伝えられていたと主張。自分はT社により自主退社へと追い込まれたとの認識を示した(T社は原告の主張は事実に反すると反論している)。
\第1審と第2審は原告の訴えを棄却。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、T社の社会的計画には発効時点ですでに自主退社していた社員に同計画に盛り込まれた措置が一切適用されないとの規定が明記されていると指摘。また、そうした規定は事業所体制法(BetrVG)75条1項に定める社員の平等待遇原則に抵触しないとの判断を示した。
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