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2011/3/30

総合 - ドイツ経済ニュース

原発廃止政策のあり方を包括検討へ、政府がエネルギー倫理委設置

この記事の要約

ドイツ政府は22日、エネルギー倫理委員会を設置した。福島原発事故を受けて打ち出した原発廃止政策の加速に向けて社会的なコンセンサスを図るのが狙い。メルケル首相は新しい安全基準に基づいて原子炉を検査するという技術的な措置だけ […]

ドイツ政府は22日、エネルギー倫理委員会を設置した。福島原発事故を受けて打ち出した原発廃止政策の加速に向けて社会的なコンセンサスを図るのが狙い。メルケル首相は新しい安全基準に基づいて原子炉を検査するという技術的な措置だけでは国民的な合意を得られないと述べ、同委では幅広い観点から原発のリスクと原発廃止政策のあり方を究明していくとの意向を示した。

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政府は福島原発の事故を受け、原子力から再生可能エネルギーへの転換を加速するとともに、国内原発をこれまでよりも厳しい基準で点検する方針を打ち出した。原発の点検は環境省傘下の原子炉安全委員会が実施するもので、◇洪水の後に爆破事故が起きるなど複合的なトラブルが起きた場合◇サイバー攻撃◇テロ攻撃――などについて安全性をチェック。基準に満たない原発は稼働を停止する。

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エネルギー倫理委は原子炉安全委の点検を踏まえたうえで、原発から再可エネへの転換を迅速かつ合理的に実現する方策を検討する。

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倫理委は14人で構成され、委員長にはクラウス・テッパー元環境相とドイツ研究振興協会(DFG)のマティアス・クライナー会長(機械工学)が就任した。テッパー元環境相は「原子力に未来はない」と言い切る原発廃止論者で、原発の早期廃止に舵を切った政府の意向がうかがわれる。クライナー氏は最先端技術の社会的な受容の分野で精力的に発言を行っている。委員会にはこのほか、学識経験者や有識者、教会関係者、労組関係者が名を連ねる。経済界からは4月に退任するBASFのユルゲン・ハンプレヒト社長が選ばれた。

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