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2011/3/30

経済産業情報

細胞培養の3次元制御で新技術、細胞形成を正確にコントロール

この記事の要約

細胞培養の3次元構成を制御する新しい技術をカールスルーエ工科大学付属機能性ナノ構造研究センター(CFN)の研究チームが開発した。細胞非接着性のポリマーで作った骨組みの上に細胞接着性のポリマーの「取っ手」をつけるのが同技術 […]

細胞培養の3次元構成を制御する新しい技術をカールスルーエ工科大学付属機能性ナノ構造研究センター(CFN)の研究チームが開発した。細胞非接着性のポリマーで作った骨組みの上に細胞接着性のポリマーの「取っ手」をつけるのが同技術のポイント。細胞はこの取っ手につかまりながら増殖していくため、取っ手の位置や骨組みの構造を変えることで細胞の形成をコントロールできる。

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一般的な細胞の培養では平坦なプラスチック培養シャーレを使って2次元(平面)で細胞を増殖させる。しかし、生体内の細胞は一部を除き3次元(立体)の環境で増殖・形成しており、実際の生体内とかけ離れた環境で培養した細胞は細胞本来の形質を失ってしまうことが指摘されている。このため、より生体環境に近い3次元での細胞培養への関心が近年、急速に高まっている。

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3次元培養ではすでに様々な手法が考案されており、担体としてアガロースゲル、コラーゲンゲル、マドリゲル(基底膜マトリクス)の使用が主流となっている。ただ、いずれの場合も形成される細胞コロニーが不均質で、改善の余地が大きいという。

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CFNのチームはこうした状況を踏まえ、培養細胞の形態や大きさ、細胞内の力のバランスなどを3次元レベルで正確に制御できる手法の開発に取り組んだ。

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チームが細胞培養の担体として開発した骨組みは、細胞非接着性ポリマーの25マイクロメートルの支柱と支柱同士をつなぐ細い横棒、および細胞接着性ポリマーのホールド部分から成り、ダイレクト・レーザー・ライティングと呼ばれる手法で作成する。

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今回の研究成果は『Advanced Material』3月18日号に掲載された。

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