被けん引車(トレーラー)を連結中のけん引車が起こした事故の保険金負担をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)はこのほど、けん引車とトレーラーの自賠責保険引き受け会社が保険金額を折半しなければならないとの判断を示した(訴訟番号:IV ZR 279/08)。これまではトレーラーに欠陥が認められない限りけん引車の保険会社が全額を支払ってきたため、今回の判例により自動車損保業界は保険料の見直しを余儀なくされている。経済紙『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』が28日付で報じた。
\係争の発端となったのは、パワーショベルを積んだトレーラーをけん引していた農業用トラクターが2006年に起こした事故だ。トラクターはスピード超過の状態で雨道を走行。運転手がブレーキをかけたところトレーラーがスリップして車道から逸れ、路肩に駐車していた乗用車に衝突し、道路わきの塀にも衝突した。事故では乗用車と塀が壊れたほか、乗用車の助手席から降りようとしていた女性が負傷した。けん引車の自賠責保険会社はこの事故で発生した損害約1万3,000ユーロを一旦支払った後、トレーラーの損保会社にも保険金の分担を要求。トレーラーの損保がこれを拒否したため裁判となった。
\BGHの裁判官は、けん引車と(保険加入が義務づけられている)トレーラーが連結していたために起こった事故については、双方の自賠責保険会社が損害を均等に補償することが妥当との判断を示し、トレーラーの自賠責保険会社に保険金の半額(約6,500ユーロ)を負担するよう命じた。
\今回の判決で大きな影響を受けるのはトレーラーの自賠責保険会社だ。トラックの自賠責保険料が3,000ユーロを超えることもあるのに対し、トレーラーの自賠責は安いもので同80ユーロ程度に過ぎないためで、今後は保険料の値上げが避けられないとみられる。また、保険金の請求期限が3年に上ることから、過去3年以内の事故で保険金を全額負担させられたけん引車の自賠責保険会社からの遡及請求が殺到する恐れもある。
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