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2011/3/30

ゲシェフトフューラーの豆知識

不採用通知の宛名書き、性別の誤記は差別に当たらず

この記事の要約

ドイツでは宛名書きに通常、性別を表わす「Herr(英語のMr.)」「Frau(同Mrs.)」を付ける。このため、男性であるにもかかわらず女性の宛名書きで手紙を受け取ることがある。特に外国人だと名前から性別を判断できないた […]

ドイツでは宛名書きに通常、性別を表わす「Herr(英語のMr.)」「Frau(同Mrs.)」を付ける。このため、男性であるにもかかわらず女性の宛名書きで手紙を受け取ることがある。特に外国人だと名前から性別を判断できないため、その確率が高い。これは日常生活ではさほど気にする必要もないが、社員募集の際は注意を払った方がよい。変に勘ぐられて提訴される恐れがあるためだ。ここではこの問題をデュッセルドルフ労働裁判所が9日に下した判決(訴訟番号:14 Ca 908/11)に即してお伝えする。

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原告は食品メーカーの社員募集に応募し、不採用となった外国系の女性。履歴書に明らかに女性と分かる写真を貼付していたにもかかわらず、不採用通知の宛名書きが男性を意味するHerrとなっていたことを受け、応募先企業の担当者が移民ゆえに応募書類に目を通さなかったと判断。平等待遇法(AGG)1条で禁じられた民族差別に当たるとして提訴し、5,000ユーロの損害賠償を要求した。

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これに対しデュッセルドルフ労裁は原告敗訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、宛名書きの誤りは単なる誤記と推測され、民族差別の事実を裏付ける証拠にはならないとの判断を示した。

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