ドイツのノルベルト・レットゲン環境相は3月31日、国内の全原発を対象に実施する安全性調査(ストレステスト)の基準を発表した。自然災害やテロ攻撃などが起きた場合、原子炉から放射能が漏れないかどうかを検証するのがテストの目的で、調査基準は福島原発事故を受けて環境省傘下の原子炉安全委員会(RSK)が作成した。政府はストレステストの結果などを踏まえ、各原発の今後の取り扱いを6月中旬までに決定する。
\ストレステストでは想定されるあらゆる事態への原発の対応能力を約100人の専門家が調査する。具体的には地震、洪水、干ばつ、航空機の衝突、ハッカー攻撃などへの備えを点検。緊急時の電力供給や冷却機能をこれまでよりも厳しい基準でチェックする。
\テストで不備が指摘された原発は設備の近代化を義務づけられる。近代化には巨額の投資を要するため、不採算を理由に廃炉となる施設も出てくるとみられる。
\RSKはテストの第1次報告を5月15日までに公表。政府はその後、新設したエネルギー倫理委員会の答申を経て、各原発の今後について最終的な判断を下す。
\電力大手のエーオンとRWEはストレステストの基準を公表したことを歓迎。テストに協力する意向を表明した。
\一方、政府がストレステストの期間中、旧式原発の運転を停止させたことに対しては、RWEが違法だと批判し1日、カッセル行政裁判所に提訴した。エーオンは訴訟を見合わせる考えを示している。
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