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2011/4/6

経済産業情報

E10販売不振、打開に向け新たな動き

この記事の要約

環境・エネルギー対策の一環として1月に導入されたバイオエタノール混合ガソリン「E10」の販売不振打開に向け、自動車メーカーとガソリンスタンドが動き出した。独自動車メーカー7社は3月28日、「ドイツ車の99%はE10対応」 […]

環境・エネルギー対策の一環として1月に導入されたバイオエタノール混合ガソリン「E10」の販売不振打開に向け、自動車メーカーとガソリンスタンドが動き出した。独自動車メーカー7社は3月28日、「ドイツ車の99%はE10対応」として給油を呼びかける共同声明を発表。ガソリンスタンド大手シェルは29日、E10対応車向けに故障などの損害を補償する掛け金ゼロの保険を開始した。消費者の不安解消が狙いだ。

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共同声明に加わったのはアウディ、BMW、オペル、フォルクスワーゲン(VW)、ポルシェ、フォード、メルセデス・ベンツの7社で、独自動車工業会(VDA)を通して発表した。声明の中で7社は「先日公表された非対応モデルのリスト(DATリスト)には法的拘束力がある」と強調し、E10対応を保証した車両が給油で不具合を起こした場合はメーカーないし輸入業者が責任を負うことを明確化した。

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シェルが開始した保険は、同社のガソリンスタンドでE10を30リッター以上まとめて給油したE10対応車が対象。給油前か給油後3日以内にオンラインサイトで登録して保険を有効化すると、一定期間内の保障が受けられる。ただ、エンジントラブルが起こった場合、ドライバーは契約締結後に走行した距離の80%以上をシェルのE10でカバーしたことを証明する必要がある。

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E10はバイオエタノールをガソリンに10%混合した燃料で、ドイツでは今年1月に導入された。業界団体によると、国内で車両登録されているガソリン車の9割がE10に対応している。ただ、ドライバーの大多数が自分の車がE10対応か分からず、エンジン故障を恐れて給油を避けているため、需要は著しく低迷している。また、一部のガソリンスタンドで「E10」と表示してありながら実際には「E5(バイオエタノール5%混合ガソリン)」や「Super95(バイオエタノール5%混合ハイオクガソリン)」が給油されていることが発覚したため、消費者の混乱は深まっている。

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これについてエクソンモービルの広報担当者は「ガソリンスタンドの多くがE10にラベルを付け替えたものの、精油所側の供給体制がまだ完全に整っていないため」と説明。また、ドイツ工業規格(DIN)ではE10は「エタノール混合率が最大で10%」と規定されており、E5をE10として販売しても「法的に問題はない」としている。

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