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2011/4/6

経済産業情報

ドイツワインの国内販売先細り、ワイナリーは国外市場開拓強化へ

この記事の要約

ドイツのワイン業界関係者が国内市場の先行きを懸念している。消費者の低価格志向と安価な国外産の流入増を背景に、相対的に価格の高い国内産が小売業者から敬遠されているためだ。一方、国外では近年、特にリースリングなどドイツ産白ワ […]

ドイツのワイン業界関係者が国内市場の先行きを懸念している。消費者の低価格志向と安価な国外産の流入増を背景に、相対的に価格の高い国内産が小売業者から敬遠されているためだ。一方、国外では近年、特にリースリングなどドイツ産白ワインへの評価が高まっており、ワイナリーは輸出志向を強めている。日刊紙『ヴェルト』が3月29日付で報じた。

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昨年の国内ワイン消費量は前年とほぼ同水準の1,600万ヘクトリットルだったのに対し、同売上高は約3%減少した。また、消費者の低価格志向を反映し、Aldi、Lidlなど大手ディスカウントスーパーの市場シェアは48%を占めた。

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ディスカウントスーパーで取り扱うワインは約70%を輸入品が占める。ドイツ産は生産コストが高く市販価格の抑制に限界があるため、敬遠されやすいという事情が背景にある。ドイツワイン研究所(DWI)のモニカ・ロイレ所長によると、今後はRewe、Edekaなど非ディスカウント系のスーパー(市場シェア26%)も国産品の取り扱いを減らす見通しだ。ドイツ産の減少分は南欧諸国などの低価格品が穴埋めするという。ドイツワインは2010年産の生産量が極端に少ないため、この傾向は一段と強まるとみられる。

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一方、輸出量は増加傾向にあり、昨年は前年比8%増の125万ヘクトリットルに拡大した。特にリースリング(ドイツを代表する白ワインの品種)は米国での販売量が10年前に比べて倍増。オランダ、スカンジナビア諸国でも売り上げが大幅に伸びている。

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世界では赤ワインの需要が拡大しているため、DIWは国外で知名度の低いドイツ産赤ワインのマーケティングも積極化している。国内のワイン作付面積に占める赤ワイン用品種の割合は10年前の約30%からすでに40%へと拡大したという。

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