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2011/4/13

経済産業情報

エネルギー業界団体が方向転換、原発稼働延長の撤回支持を決議

この記事の要約

独エネルギー水道産業連合会(BDEW)は8日の緊急理事会で、国内原発の早期全面廃止を支持すると決議した。早ければ2020年、遅くとも2023年までに実現できるとしている。BDEWのエヴァルト・ヴォステ会長は「福島原発事故 […]

独エネルギー水道産業連合会(BDEW)は8日の緊急理事会で、国内原発の早期全面廃止を支持すると決議した。早ければ2020年、遅くとも2023年までに実現できるとしている。BDEWのエヴァルト・ヴォステ会長は「福島原発事故を受け、ドイツのエネルギー政策論議は決定的に変わった」と指摘。政府との合意で今年1月にようやく実現した原発稼働期間延長の撤回は避けられなくなったとの認識を示した。

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原発を運転する電力大手4社は2000年、社会民主党(SPD)と緑の党からなるシュレーダー政権(当時)と協定を結び、国内原発を2023年までに全廃することで合意。同協定は02年の改正原子力法で法的拘束力を持つに至った。ただ、この取り決めはシュレーダー政権が実質的に強要する形で実現したもので、4社は当初から反発していた。

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キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)からなるメルケル現政権も同協定に批判的だった。このため4社と協議したうえで昨年、原子力法を再改正し、稼働期間の延長を実現した。

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だが、政府は福島原発事故を受けて原子力利用の早期終了方針へと転換。国民の間でも原発批判の機運が急速に高まっているため、稼働延長は実質的に撤回される可能性が強くなっている。

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BDEWの今回の決議は稼働延長に批判的な中小の公益企業や再生可能エネルギー会社、ガス供給会社が電力大手の反対を押し切る形で実現したもようだ。『南ドイツ新聞』によると、エーオンやRWEなどの原発事業者はBDEWから脱退する可能性もあるという。

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