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2011/4/13

経済産業情報

風力発電ローター径、「250メートルまで実現可」=EU報告

この記事の要約

次世代風力発電技術の開発を目指して5年前にスタートした研究プロジェクト「UpWind」がこのほど、終了した。プロジェクトチームは先月公表された最終報告書のなかで、風力発電の風車のローター径(風車のブレードが描く円の直径) […]

次世代風力発電技術の開発を目指して5年前にスタートした研究プロジェクト「UpWind」がこのほど、終了した。プロジェクトチームは先月公表された最終報告書のなかで、風力発電の風車のローター径(風車のブレードが描く円の直径)は最大250メートル、定格出力は20メガワット(MW)まで実現可能との試算結果を明らかにしたうえで、20MWレベルの超大型風車の建設・稼働は2020年までに達成できるとの予測を示した。

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UpWindは欧州連合(EU)の第6次研究・技術開発枠組み計画(FP6)の一環として06年に発足したプロジェクトで、デンマークのリソ国立研究所を中心に11カ国の40機関が参加。ドイツからはカッセル大学、GE Wind Energy、Repower Systemsなど8機関が参加した。定格出力10MW以上の風車の実現を目標に掲げ、ローター、伝動装置、変電装置の構造や素材などの開発に取り組んだ。

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EUは一次エネルギーにおける再生可能エネルギーの利用割合を2020年までに20%へと引き上げる目標で、域内の風力発電量は増加し続けている。ただ、風力発電はコストが高く、コストを引き下げに向けてタービン1基当たりの出力を増やすことが課題となっている。風車の出力はローター径の2乗に比例するため、風車を巨大化することで出力を引き上げられる。

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風力発電用タービンで世界最大手のヴェスタス(デンマーク)は先月末、ローター径164メートル、出力7MWで世界最大の洋上ウィンドパーク向け次世代発電プラント「V164-7.0 MW」を発表した。UpWindが実現可能として描き出した風車の出力はこの3倍に上回る。実現に向けては、ローターや支柱の軽量化や強風などの悪天候でも破損しない構造の開発が必要で、道のりは平たんでないようだ。

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