経営環境が大きく変化したり財務が悪化した場合、企業はしばしば組織再編を行う。何らかの手を打たなければ競争力が低下し、倒産する恐れもあるのだから当然だろう。しかし、組織再編に伴い整理解雇を行う場合は残留する社員に過度のしわ寄せが及ばないことが必須条件となる。ここではこの問題を雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が昨年12月に下した判決(訴訟番号:2 AZR 770/09)に即してお伝えする。
\裁判を起こしたのは老人ホーム向けの給食サービス(ケータリング)を手がける企業で、業務の総合的なコーディネートを担当していた職員。同社の経営陣は経営悪化を理由に同職員のポストの廃止を決定し、2008年6月23日付の文書で解雇を通告した。その際、同職員が遂行してきた業務については、その下で働いていた3人の料理長に割り振った。
\同社員は解雇の取り消しを求めて提訴した。裁判は1審で原告敗訴となったものの、2審で逆転勝訴となり、BAGも第2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告の勤務時間は月平均で174時間に上ることを指摘。一方、3人の料理長のうち2人は月の残業時間が40~50時間に達し、残り1人も勤務時間のゆとりが月5時間しかないとして、原告の労働時間を3人に割り振るのは無理があるとの判断を示した。
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