欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/4/20

総合 - ドイツ経済ニュース

CSS法案を閣議了承、安全貯留技術の確立へ

この記事の要約

連邦政府は14日、「二酸化炭素(CO2)の分離・貯留(CCS)技術の導入と利用に関する法案」を閣議了承した。同法案が規制の対象とするのは研究・デモ目的の施設で、プロジェクト事業者に事故の際の損害を補償させることなどを骨子 […]

連邦政府は14日、「二酸化炭素(CO2)の分離・貯留(CCS)技術の導入と利用に関する法案」を閣議了承した。同法案が規制の対象とするのは研究・デモ目的の施設で、プロジェクト事業者に事故の際の損害を補償させることなどを骨子としている。政府は秋までに法案を成立させる意向だ。

\

同法案はCCS技術の安全な導入と利用を加盟国に義務づける欧州連合(EU)のCCS指令を国内法に転換するもので、CCS技術の長期利用への道を開くとともに、CO2を半永久的に安全貯留する技術の確立に重点が置かれている。具体的には、◇規制対象とする貯留施設を2016年末までに申請された研究・実証プロジェクトに限定する◇CO2貯留量を施設1カ所当たり年最大300万トン、国全体で同800万トンに制限する◇貯留施設が地熱やエネルギー備蓄など他の地下施設運用の妨げとならないようにする◇プロジェクト運営者にリスク引当金の積み立てを義務づけ、事故の被害を補償できるようにする◇プロジェクト運営者は事前に施設の設計・計画・運営における安全性を精査するするとともに、事故防止に向け最先端の技術・科学的知見を取り入れる――などの規定が盛り込まれている。

\

法案にはまた、◇CCS建設を認めるか否か◇認める場合はどの地域を建設可能(あるいは不可能)とするか――を各州が州法で定めるとのルールも取り入れられた。これはCCSに対する住民の反対が強いシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州が求めていたもので、同州の要求がほぼ受け入れられた格好だ。

\

これに対しCCS推進派のブランデンブルク州は「国内のどこにもCCS施設が建設できなくなる恐れがある」として強く反発している。『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙によると、同州は連邦参議院(州の代表で構成される上院)での法案修正に向けてすでに動き出しているという。

\