化学系複合企業のEvonik(エッセン)は17日、カーボンブラック事業を米投資会社Rhone Capitalに売却することで合意したと発表した。取引額は債務を含めて9億ユーロ超える。クラウス・エンゲル代表取締役は今回の取引により化学事業の整理が終了すると発言、年内に株式公開を果たすとの目標に大きく近づいたとの立場を示した。売却手続きは今夏の完了を見込む。
\Evonikのカーボンブラック事業は主にタイヤ、ゴム、塗料、トナー、樹脂向けのカーボンブラック製品を生産。関係筋がロイター通信に明かしたところによると、昨年は売上高で12億ユーロ、営業利益(EBITDAベース)で1億5,000万ユーロを計上した。今回の取引額はEBITDAの6倍という業界平均を上回るという。
\Evonikは2007年、炭鉱系複合企業のRAGが子会社のDegussa(化学)、Steag(エネルギー)、Rag-Immobilien(不動産)を統合する形で設立した持ち株会社で、RAG財団が株式75%、英投資会社のCVCが同25%を持つ。エンゲル代表取締役は経営の柱を化学に一本化する方針を固め、昨年末にエネルギー事業を売却した。不動産事業も2013年以降に売却できると見込んでいる。化学部門は昨年、売上高を前年比26%増の133億ユーロ、営業利益も前年の2億4,000万ユーロから7億3,400万ユーロへと拡大しており、時価総額は100億ユーロを超えるとみられている。
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