完成車メーカーが部品メーカーに優越するというこれまでの力関係が、電気自動車(EV)の開発分野で成り立たなくなっている。EVは完成車メーカーが豊かなノウハウを持つエンジンを必要としない一方で、電気モーターやバッテリーの分野ではサプライヤーのほうが優れた技術・ノウハウを持っていることが少なくないためだ。12日付経済紙『ハンデルスブラット』は、メーカーとサプライヤーが対等の関係を築くようになる可能性もあると報じた。
\自動車メーカーは車の誕生からこれまで一貫して、自動車の心臓部であるエンジンの開発に最も力を注いできた。しかし、次世代の低公害車として開発が進む電気自動車では、モーターやバッテリーなどサプライヤーのほうが技術面で何年も先んじていることが少なくない。また、電力会社やバッテリメーカーなどこれまで自動車業界とほとんど縁のなかった企業が同じ船に乗り合わせており、「メーカーが親分」というこれまでの力関係は当てはまらなくなっている。
\自動車大手ダイムラーは12日、独サプライヤー大手のボッシュと合弁会社を立ち上げ、共同でEV用モーターを開発・生産すると発表。独コンティネンタルも次世代EV向けモーターを開発、仏自動車大手ルノーを顧客として獲得した。
\一方、サプライヤーが力を持つことへのメーカーの抵抗感は強いようで、欧州最大手フォルクスワーゲン(VW)のマルティン・ヴィンターコルン社長はハイブリッド車・電気自動車向けモーターの組み立てを将来、全て自社で行う方針を表明した。「モーターとバッテリーは電気自動車の心臓部。自社が中心となって開発すべき分野」として、リチウムイオン電池の製造も自社で手がけたい考えだ。
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