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2011/4/20

経済産業情報

郵便業界で自動化進む、市場縮小を高効率化で相殺

この記事の要約

電子メールの普及で郵便市場が世界的に縮小するなか、郵便各社はコスト削減に向け、これまで人手で行っていた作業の自動化を推し進めている。スイスポストは昨年、郵便デジタル化サービスでシーメンスのスキャン自動化ソリューション「T […]

電子メールの普及で郵便市場が世界的に縮小するなか、郵便各社はコスト削減に向け、これまで人手で行っていた作業の自動化を推し進めている。スイスポストは昨年、郵便デジタル化サービスでシーメンスのスキャン自動化ソリューション「Trust Ebox」を導入した。ドイツポストは2012年まで総額4億2,000万ユーロを投資して全国に計385台の郵便区分機を導入する計画だ。18日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』が報じた。

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ドイツの郵便市場は縮小が続いており、2005年に73億ユーロだった業界売上高は10年には60億ユーロへと後退した。売上減少の中で利益を確保するため、ドイツポストをはじめとする郵便サービス事業者は自動化による効率改善を進めており、万国郵便連合によると、郵便自動化システムの世界市場規模は10億ドルに上る。同分野の世界最大手はシーメンスで、世界50カ国に製品を輸出し、市場シェアは35%に上る。

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ドイツポストは昨年11月、ハンブルク・アルトナ地区の集配センターで新型の郵便区分機を導入、稼働を開始した。新しい区分機の処理能力は毎時5万通で、旧型機の同4万通に比べて性能が大きく改善した。手書き文字の認識精度が飛躍的に高まっており、認識率は95%に達する。また、配達順に郵便を並べ替える(道順組立)機能が搭載されているため、人手が必要なのは機械で読み取れなかったり住所が不正確ではじかれた郵便の区分けなど作業全体の1割程度に過ぎないという。自動化によるコスト削減効果は大きく、ハンブルク集配センターの担当者は、以前なら人手による区分け作業に45人が必要だったが「今は3人いれば足りる」と話す。

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スイスポストが導入したTrust Eboxは◇封書の開封◇折りたたまれた通信文の展開◇スキャンしてデジタルアーカイブ化する――などこれまで人手に頼ってきた作業をほぼ自動化。シーメンスによると、従来のスキャンシステムに比べコストを最大90%圧縮できる。

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同システムはスイスポストの郵便デジタル化サービスで採用されている。これは郵便をデジタルスキャンしてメールとして転送するもので、顧客は封筒のサムネール画像を見たうえで(1)デジタル開封(2)オリジナルの自宅への配達(3)郵便破棄――のいずれかを選ぶことができる。郵便配達量の減少につながるため、特に配達に手間のかかる山間部の人口希薄地で効果を発揮する。

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