経営上の理由で社員を整理する場合、雇用主と事業所委員会(従業員の代表機関)は社会的計画(Sozialplan)を共同作成し、該当する社員への一時金(Abfindung)支給額を決定する。この場合、高齢社員の一時金額を若い社員よりも優遇することは必ずしも違法な差別に当たらない。高齢社員は再就職のチャンスが低いためで、一般平等待遇法(AGG)10条にはその旨が明記されている。しかし、実際にどの程度の差をつけるかとなると判断が難しい。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が12日に下した判決(訴訟番号:1 AZR 764/09)に即してこの問題をお伝えする。
\裁判は従業員整理の対象となった女子社員が会社を相手取って起こしたもの。BAGのプレスリリースによると、同社は解雇一時金の額を勤続年数と月給(支給額ベース)をもとに算出した額に年齢に応じて取り決めた係数を掛けて算定。係数は29歳までを80%、30~39歳を90%、40歳以上を100%としていた。原告の同社員は解雇当時38歳だったため、90%の係数が適用され、3万1,199ユーロ2セントが支給されたが、係数100%の適用を求めて提訴した。
\裁判は第1、第2審で原告が敗訴、連邦労裁も下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、解雇一時金の算出基準は妥当な範囲に収まっており、40歳未満の社員への差別には当たらないとの判断を示した。
\