欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/5/4

企業情報

Jack Wolfskin―投資会社が売却断念―

この記事の要約

投資会社のQuadriga CapitalとBarclays Private Equity (BPE)はこのほど、傘下の独アウトドア用品大手Jack Wolfskin(イドシュタイン)の売却手続きを中止したと発表した。J […]

投資会社のQuadriga CapitalとBarclays Private Equity (BPE)はこのほど、傘下の独アウトドア用品大手Jack Wolfskin(イドシュタイン)の売却手続きを中止したと発表した。Jack Wolfskinの業績向上を理由としている。一方、日刊紙『Financial Times(ドイツ版、FTD)』によると、金融業界内には入札額が売却希望額に届かなかったためとの見方があるという。

\

Jack Wolfskinは近年10%以上の成長を続けており、親会社2社の売却希望額は高額だったとみられる。金融筋によれば、年内の交渉再開はないもよう。

\

入札にはスポーツ用品大手の独AdidasやPumaが予想に反して参加せず、独Tchibo(コーヒーチェーン)のオーナーであるギュンター・ヘルツ氏が売却先として本命視されていた。Quadriga CapitalとBPEは当初、売却額で6億ユーロを目標としており、関係筋は4月下旬、同金額を超える入札があったと伝えていた。しかし、Quadriga CapitalとBPEはその後、目標額を8億ユーロに引き上げたという。

\

Jack Wolfskinは独市場への依存度が高く、アウトドアの盛んなスイスやオーストリアでは事業が停滞している。このため、国外市場での今後の成功を疑問視する声も多く、これが同社の時価評価で親会社2社と応札企業が食い違う原因となったもようだ。

\

Quadriga CapitalとBPEは2005年、Jack Wolfskinを投資会社の米Bain Capitalから9,300万ユーロで買収した。Jack Wolfskinのマンフレッド・ヘル社長も少数出資者として資本を保有している。

\