非メーカー系の自動車整備事業者が修理を手がけたメーカーのロゴマークを広告に使用するのは不当として独フォルクスワーゲン(VW)が提訴していた係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)はこのほど、VW勝訴判決を下した(訴訟番号:I ZR 33/10)。判決理由で裁判官は、第三者が企業ロゴを使用することでロゴの宣伝広告機能が損なわれる恐れがある場合、商標登録者は使用禁止を命じることができるとの判断を示した。
\訴えられていたのは独立系修理サービス大手のATU Auto-Teile-Unger(ATU)。同社は国内600カ所に拠点を持ち、交換部品販売のほか、格安価格でほぼ全てのメーカーの自動車整備点検サービスを手がける。同社はVW車向けサービスも行っていることを宣伝するためにVWのロゴを広告に使用、これに対し同一のロゴで同様のサービスを提供するVW側が商標侵害として提訴していた。
\BGHの裁判官は商標法の規定を踏まえ、「第三者の提供するサービス内容を示すのに必要不可欠な場合、商標登録者はロゴの使用を禁止できない」と指摘。そのうえで、当該の係争ではATUは広告に文字で「VW」や「Volkswagen」と書き記すことでVW車向けサービスを行っていることを表示でき、ロゴマークを使用する必然性は認められないとの考えを示した。また、ATUがVWのロゴを使用することはVWにとってブランドイメージの流出であり、ロゴの宣伝機能を弱めることにつながるとして、ロゴの使用禁止を言い渡した一審・二審判決を支持した。
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