保険医療機関指定認可を受けた医師が開業免許を後継者に譲渡したり別の医師に売却できる現行システムの廃止を、公的健康保険組合が求めている。診療医(経営者)が変わる毎に開業免許を必要とする方式に改めることで、都市部の医師過剰を解消するとともに、地方での開業を促進。医療の地域格差を是正したい考えだ。4月26日付『南ドイツ新聞』が独自入手した公的健保の提言案をもとに報じた。
\ドイツでは高齢化による医療需要の増加を背景に今後数十年内に全国で最大2万人の医師が不足すると予想されている。連邦政府はこれを踏まえて4月に新たな法案の作成で合意した。法案には医学部の定員を増やして医師の養成を強化するほか、◇女医の産休代理医を派遣する期間を出産後半年までから1年に延長する◇地方に行くことを嫌がる医師が多いことに対応し、従来の職住近接義務を廃止し、都市で生活し地方の医療機関で働くことを認める――などを盛り込む予定だ。政府は遅くとも12年1月の施行を目指している。
\公的健保の提言案はこれに対し、「国内の外来診療医は1990年~2009年の20年間に4万7,000人増加しており、全体として医師の数は不足していない」と指摘。問題は医師不足でなく医師の偏在にあるとの考えを示したうえで、都市部の医師過剰を是正することなく地方に医師を誘致しようとしてもコストがかさむだけで効果が得られないと訴えている。
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