ドイツ唯一の美容外科クリニックチェーンMan Medical One（MMO、エッセン）は設立から4年目の今年、損益分岐点を初めて確保する見通しだ。美容整形の人気拡大が追い風になっているという。同社のフィリップ・モールスバッハ取締役が『ハンデルスブラット（HB）』紙に対し明らかにした。
\豊胸手術やシワとり、植毛、脂肪吸引などの美容施術を受ける人はドイツでも増えており、2009年に国内で行われた美容外科手術の件数は前年比20％増の17万1,000件に拡大した（独美容外科医協会＝GAeCD＝の統計）。治療以外の目的で行われる形成外科手術の総額は年8億ユーロに上る（形成・再建・美容外科医全国連合会＝DGPRAeG＝の試算）。また、HB紙によると、美容注射など手術を必要としない美容施術（美容皮膚科）は09年の件数が14万6,000件となり、前年の1.5倍に増加したという。業界関係者は美容整形市場全体の売上高を18億ユーロと推測している。
\MMOは2007年、医師のヴェルナー・マング教授がリンダウで経営する美容外科クリニック（Bodenseeklinik）と、小売大手Metro元社長のエルウィン・コンラーディ氏が設立した美容外科クリニックMedical Oneの合併で誕生した。ドイツ国内17都市に診療拠点を持ち、2010年売上高は2,840万ユーロに上った。
\マング教授は体への負担が小さい美容手術法を独自に開発し、これを実践するBodenseeklinik系のクリニックは高い収益性を誇る。一方のMedical Oneは赤字経営だったため、合併によってBodenseeklinikの経営モデルを取りいれ、業績改善を図ってきた。合併からこれまではBodenseeklinik系の黒字でクリニックチェーン全体の赤字を相殺してきた。
\
