特許薬業界団体である研究開発型製薬工業会(VFA)のバイオ部会(VFA.Bio)が5日発表した業界報告書によると、加盟29社の2010年バイオ医薬品売上高は前年比9%増の61億7,000万ユーロに拡大した。バイオ医薬品の需要増が追い風となった。昨年8月に導入された特許薬強制割引制度による目減り分(3億1,000万ユーロ)を差し引いた実質の売上高は7%増の58億6,000万ユーロ。
\コンサルティング大手Boston Consulting GroupがVFA.Bioの委託を受けて実施した調査によると、国内医薬品市場全体の売上高は09年の291億ユーロから10年には3.4%増の301億ユーロに拡大した。これに対しバイオ医薬品は47億ユーロから10.6%増の52億ユーロへと市場平均を上回る勢いで成長。国内シェアは1ポイント増の17%に広がった。強制割引を含む政府の特許薬価格引き下げ策の影響で、値上げした製品はまったくなく、純粋に販売量の増加が成長に貢献した。
\疾患別にみたバイオ薬のシェアは免疫系(74%)が最も高く、代謝系(35%)、抗腫瘍薬(32%)がこれに続いた。
\VFA.Bio加盟企業が取り組む新薬プロジェクトのうち臨床試験段階(フェーズI~III)にあるのは計516件で、前年比12%の増加。分野別では抗がん薬が143件(16%増)、バイオワクチンが129件(5%増)、免疫抑制薬が76件(1%増)などとなっている。
\一方、10年のバイオ新薬認可件数は6件で、前年の半分に落ち込んだ。ただ、合成薬などバイオ薬以外の認可件数も16件に半減したため、認可薬全体に占めるバイオ薬のシェアは27%で変わらなかった。
\