ドイツ南西部の都市マンハイムでスマートグリッドの実証プロジェクトが進められている。「モデルシティ・マンハイム(MOMA)」と名付けられた同プロジェクトは、電力情報の提供・管理システムの開発とともに、“地産地消型”電力ネットワーク(マイクログリッド)の構築に焦点を設定。現在は200世帯の協力を得て、変動料金制度が需要家(家庭)の電力消費行動にどの程度影響を与えるかを検証している。
\MOMAには目的が2つある。1つは電力消費をコントロールするインテリジェントシステムの開発。もう1つは、個々の世帯が電力の自給自足を行いながらも、不足時には近所で相互に融通し地域レベルの需要を管理・制御する「マイクログリッド」の可能性を探ることだ。この目的の性質上、同プロジェクトに参加・協力できるのはソーラーパネルなど自前の発電設備を持つ世帯に限られる。
\プロジェクトは3段階に分かれており、現在進行中の第2段階では、時間帯によって変動する料金体系を導入し、料金の安い時間帯に電力使用をどの程度、誘導できるかなどを調べている。協力世帯にはスマートメーターのほか、リアルタイム電力料金情報をもとに家電を制御してエネルギー利用を最適化する「エナジー・バトラー(エネルギー執事)」と呼ばれるコントローラーが併設されている。「執事にすべてお任せ」して、電気料金の安い時間帯に自動的に家電を稼働させることも、「いくら安くても真夜中の皿洗いは困る」などの事情に応じて都合のよい稼働時間を設定することも可能だ。
\MOMAは情報通信(ICT)技術をベースとした未来のエネルギーシステム構築を目指す政府の研究プログラム「E-Energy」の1つで、連邦環境省(BMU)から助成金を受けている。マンハイム市営エネルギー供給会社(MVV)を中心に、ドレスデン市営電力会社(DREWAG)、IBM、フラウンホーファー風力エネルギー・エネルギーシステム研究所(IWES)など計9機関が参加する。
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