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2011/6/29

経済産業情報

農村でスマートグリッドプロジェクト進む

この記事の要約

ドイツ西部のアイフェル山地にあるビットブルク・プリュム郡で、スマートグリッドの実証試験が進められている。同プロジェクトは風力・太陽発電の拡大に伴う電力供給量の変動をバイオマスとバイオガスによる発電・蓄電で調整するというコ […]

ドイツ西部のアイフェル山地にあるビットブルク・プリュム郡で、スマートグリッドの実証試験が進められている。同プロジェクトは風力・太陽発電の拡大に伴う電力供給量の変動をバイオマスとバイオガスによる発電・蓄電で調整するというコンセプトで、人口希薄地における次世代スマート電力網の整備・普及に向けた問題点を探る狙いがある。

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「未来の電力供給ネットワーク」と名付けられた同プロジェクトは、エネルギー大手RWE、電機大手ABB、ドルトムント工科大学、エネルギーコンサルティング会社Consentecからなるコンソーシアムが2009年7月から実施しており、連邦経済省の資金援助を受けている。

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実証試験が実施されているのはビットブルク・プリュム郡の一部地域で、面積は173平方キロメートル、住民数は5,500人(平方キロ当たりの人口密度33人)、年間電力消費量は2,200万キロワット時に上る。同地に白羽の矢が立ったのは、◇広い地域に需要家が点在しているため電力網が長く、電力安定供給の条件が都市部より厳しい◇消費電力がそれほど大きくないため、従来型の送電インフラでは太陽光や風力などによる発電量の急激な変動に対応できない◇再生可能発電施設の設置が進んでおり、最大出力が地域の電力網で耐えられる最大負荷を超えている――など、スマートグリッドの普及で障害となりうる典型的な問題を実地で検証できるためだ。

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同プロジェクトではバイオガス備蓄施設を備えた熱電併給発電所が全国で初めて導入され、注目を集めている。太陽光・風力による発電量が需要を上回った場合は余剰電力でバイオガスを生産して備蓄するとともにバイオマス発電を停止。逆に発電量が少ない場合はバイオマス発電で不足分を補う。

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