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2011/9/14

経済産業情報

室温でマルチフェロイック素材作製、次世代記録媒体の開発に弾み

この記事の要約

ヘルムホルツ物質・エネルギー研究センターなどの国際研究チームは、室温で強誘電性を示すチタン酸バリウム(BaTiO3)に強磁性の性質を付加して、マルチフェロイック材に変換することに初めて成功した。マルチフェロイック素材は次 […]

ヘルムホルツ物質・エネルギー研究センターなどの国際研究チームは、室温で強誘電性を示すチタン酸バリウム(BaTiO3)に強磁性の性質を付加して、マルチフェロイック材に変換することに初めて成功した。マルチフェロイック素材は次世代の高密度記録媒体として大きな期待が寄せられており、室温で動作するマルチフェロイック材の開発が実現したことはメモリーやセンサーでの実用化に弾みをつけそうだ。

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マルチフェロイック物質は強磁性と強誘電性を併せ持つ材料で、メモリー素子として応用すると、原理上非常に多くの情報(1素子当たり4通り)を記録することができる。従来の記録媒体が記録密度の物理的限界に近づくなか、次世代の記録媒体として有望視されている。

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ただ、これまでに知られているマルチフェロイック物質のほとんどは、マイナス130度以下の低温でしか強誘電性と強磁性を同時に示さないという難点があり、室温で両方の性質を持つ新たな素材の開発に向け世界の研究機関がしのぎを削っている。

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ヘルムホルツ物質・エネルギー研究センターをはじめとする独仏英6機関が参加する研究チームは今回、BaTiO3の薄膜の上に、室温で強磁性を示す鉄(またはコバルト)分子の薄膜を蒸着してナノ薄膜積層を作成。それぞれの薄膜の強磁性・強誘電性評価を行った。この結果、BaTiO3が鉄(またはコバルト)分子との境界面で強磁性の性質が誘起されたことを確認した。

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研究の成果は『Nature Materials』に掲載された。

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