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2011/9/14

経済産業情報

特許薬業界が強制割引制度の見直し要求

この記事の要約

特許薬業界団体の研究開発型製薬工業会(VfA)は8日、昨年夏に導入された特許薬強制割引制度は見直しの必要があるとの見解を表明した。公的健康保険が今年上半期に大幅な黒字を計上するなど、公的健保財政が導入当時から大きく改善し […]

特許薬業界団体の研究開発型製薬工業会(VfA)は8日、昨年夏に導入された特許薬強制割引制度は見直しの必要があるとの見解を表明した。公的健康保険が今年上半期に大幅な黒字を計上するなど、公的健保財政が導入当時から大きく改善していることが理由。VfAのビルギット・フィッシャー事務局長は「同制度が今後も続けば、特許薬メーカーの研究開発基盤が危うくなる」として政府に対応を求めた。

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薬剤支出に関するレポート『Arzneimittelatlas』の最新版によると、公的健保は2009年に32億ユーロの赤字を計上したものの、今年は1月からこれまでに35億ユーロの黒字を計上した。連邦保健省が作成する公的健保レポートでも財政状況が急速に上向いていることが分かっている。

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VfAのフィッシャー事務局長は「強制割引制度は非常時の一時的な対策であるべきだ」と発言。Arzneimittelatlasを編纂する健康社会研究所(IGES)のベルトラム・ホイスラー所長も「強制割引制度を策定した当時、連邦政府は公的健保の赤字幅を110億ユーロと想定していた」と指摘し、同制度は「現状と相容れない」と明言した。

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連邦保健省の広報担当者はメディアの問い合わせに対して、制度の見直しに前向きに取り組む考えを示した。ただ、実際に見直しに着手するのは2012年通期の公的健保の財務見通しが出そろう10月以降になるとしている。

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