ドイツ国内の高圧送電網管理・運営を手がけるTennet(エーオンの元子会社)、50Hertz(バッテンフォールの元子会社)、Amprion(RWEが25.1%出資)、EnBW Transportnetzeの4社は、合わせて数十億ユーロを投資し計3本の大容量送電網(電力アウトバーン)を整備する。原発廃止や再生可能電力の利用拡大に伴う電力供給体制の変化に対応することが狙い。50Hertzはすでにネットワーク管理当局(BNetzA)に建設認可の申請を出したという。23日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。
\再生可能電力の中心をなす風力発電は将来的に主に独北部の北海・バルト海上で発電されるが、電力消費地である南部向けの高圧送電網は整備が不十分で、送電にすでに困難が生じている。連邦政府は発電総量に占める再生可能電力の割合を現在の20%から2020年までに35%へと拡大する目標を掲げており、このままでは電力の安定供給に大きな支障が出るのは避けられない情勢だ。
\Tennetは数十億ユーロを投資して南北ドイツを結ぶ全長900キロメートルの高圧送電網を建設する方針で、同社の広報担当者はFTD紙に対し、計画の詳細を来春に発表することを明らかにした。50Hertzは約十億ユーロを投じて東部のマグデブルクと西部のライン・マイン地方を結ぶ送電網を計画。来年1月から策定作業に入る。EnBWとAmprionはラインラント地方とシュツットガルトを結ぶ南北送電網を建設する計画で、約10億ユーロの予算を見込んでいる。
\導入する技術は確定していないものの、送電損失が少ない直流高圧送電(HVDC)が有力候補に挙がっている。送電網の新設は地域住民の反対に遭遇しやすいため、一部は既存の送電マストを活用する可能性もある。
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