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2011/9/28

経済産業情報

災害リスク管理へ関心高まる

この記事の要約

ハリケーンや地震の頻度や被害規模の拡大を受け、自然災害リスク管理に取り組む企業が増えている。部品生産の外部委託や生産拠点の国外移転によってサプライチェーンが複雑化した結果、供給が1カ所で途絶しただけでも業務中断を余儀なく […]

ハリケーンや地震の頻度や被害規模の拡大を受け、自然災害リスク管理に取り組む企業が増えている。部品生産の外部委託や生産拠点の国外移転によってサプライチェーンが複雑化した結果、供給が1カ所で途絶しただけでも業務中断を余儀なくされるなど甚大な影響が出るためだ。保険会社はサプライチェーン寸断による損害を補償する新たな保険を市場投入している。21日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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鉄鋼大手ティッセンクルップは事業継続計画(BCP)システムを導入し非常事態に備えている。同社のリスク管理・保険サービス部門のミヒャエル・ミルブロート部長は3月11日の朝、東日本大震災の第一報を聞いた。出社すると同社の役員から、現地の被害状況を知らせるよう緊急の命令が届いたが、同氏のチームはわずか30分で被害に遭った拠点や製造している製品の種類、従業員名、保険番号などを一覧にまとめて提出。今後の事業継続に関する見通しをいち早く立てることができたという。

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自然災害リスク管理への関心の高まりを受け、保険会社でも対応する保険商品を売り出している。チューリッヒ保険は2009年末、サプライチェーンの寸断による被害をカバーする商品を市場投入した。保険金は最大で1億米ドルで、今年からはドイツ市場でも販売している。すでに複数の企業から問い合わせがあるという。

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リスク管理認証サービスを手がけるVdSの関係者によると、大手企業では災害リスク管理の整備が大きく進んだ一方、中小企業では「これまで問題が起きていない」との理由で災害リスク投資を渋るケースが多い。ティッセンクルップのミルブロート部長は「災害が起きたときの損害額はリスク投資の額をはるかに上回る」と述べ、危機意識の低さに警鐘を鳴らした。

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