雇用関係の終了に伴い消化できなかった有給休暇は金銭に換算して被用者に支給される。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。では、被用者が死亡したために消化できなかった場合、有給休暇はどう取り扱われるのだろうか。つまり、遺産相続者は雇用主に対し金銭を請求できるのであろうか。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が20日に下した判決(訴訟番号:9 AZR 416/10)に即してこの問題をお伝えする。
\裁判を起こしたのは被告企業に勤務していた男性社員の遺族。同社員は2008年4月から死亡した09年4月までの1年間、病気休業していた。この間、有給休暇を取得できなかった。
\遺族はこれを受け未消化となっている計35日分の有給休暇を金銭に換算し支給するよう要求。総額3,230.50ユーロの支払いを要求した。根拠としたのは民法典(BGB)1922条1項に定められた遺産相続権である。
\裁判では第1審が原告敗訴、第2審が逆転勝訴となったものの、最終審のBAGは再び原告の訴えを退けた。判決理由で裁判官は、有給休暇の請求権は被用者の死亡により消滅すると指摘。未消化の有給休暇は遺産に該当しない判断を示した。
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