インクカートリッジのパッケージに印刷するイメージ写真を非純正品メーカーに真似されたのは不当としてエプソンの独法人が文房具大手ペリカンの傘下企業を相手取って起こしていた係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は9月28日、類似イメージ写真の使用を原則として認める判断を示した(訴訟番号:I ZR 48/10)。消費者はイメージ写真を手がかりにエプソン製プリンターの各機種に対応したインクカートリッジを識別しており、非純正品が同じ手法を踏襲することは消費者の利益にかなうとしている。
\エプソンは2002年から、パッケージに商品名、対応機種のほか目印として個別のイメージ写真(クマのぬいぐるみ、おもちゃのアヒル、日傘など)を印刷したインクカートリッジを販売している。このため、ユーザーは写真を見て自分の機種に対応したカートリッジを簡単に選ぶことができる。
\ペリカン傘下で複数メーカー対応のインクカートリッジ生産する被告企業はこれを模倣。エプソン機向け製品の一部で純正品のパッケージと類似したイメージ写真を使用したことから、エプソンが「商標の評判から不当な利益を享受している」として提訴していた。
\BGHの裁判官は、純正品と類似のイメージ写真を使用することは商標からの利益の享受に当たると認めたものの、欧州連合(EU)の商標権法でこうした類似表示が違法とされるのは、模倣された側の商標を「けなしたり誹謗して貶めている」場合に限られると指摘。類似の表示で競合の商標から利益を享受するのは「多くの場合、必然的に起こることで避けられない」として、競争法違反には当たらないとの考えを示した。
\また、当該の案件では真似されたエプソン側だけでなく、消費者の利益も考慮する必要があると指摘。純正品の購入者が主にイメージ写真を手がかりに正しいインクカートリッジを選択しているのであれば、非純正品メーカーが同様の写真をパッケージに使用することは、消費者の利益を守るという観点から妥当と結論づけた。
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