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2011/10/5

経済産業情報

キメラ・ハイブリッド研究は法規制強化が必要=独倫理委

この記事の要約

政府と議会に指名された有識者で構成される独倫理委員会(以下:倫理委)は9月27日、ヒトとヒト以外の動物の合成体作成を伴う生物医学研究(キメラ・ハイブリッド研究)に関するポジションペーパーを発表した。異種動物間の胚移植や動 […]

政府と議会に指名された有識者で構成される独倫理委員会(以下:倫理委)は9月27日、ヒトとヒト以外の動物の合成体作成を伴う生物医学研究(キメラ・ハイブリッド研究)に関するポジションペーパーを発表した。異種動物間の胚移植や動物臓器のヒトへの移植(=異種移植)など、キメラ・ハイブリッドの研究範囲が広がった結果、人と動物の境界線があいまいになり始めていると懸念を表明。ヒト胚の動物への移植を禁止する現行法の規定は不十分だとして、動物胚のヒトへの移植も禁止するなど法規制の強化が必要との見解を示した。

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倫理委は今回、ヒト遺伝子をマウスなどの哺乳動物に移植することは倫理的に問題ないとする一方、ヒト細胞や遺伝子をサルに移植することは「医学上の有用性が明らかな場合」に限って認め、類人猿への移植は全面的に禁止するよう求めた。

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また、ヒト神経幹細胞を動物の脳に移植することについては、「移植によって動物が人間化することはあり得ない」としながらも、「脳はヒトと動物を区別するうえで本質的な役割を担う器官」であると指摘。特に慎重な扱いが必要だとの見解を示した。

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ヒト細胞の核を動物除核未受精卵に移植して作成する融合胚(ヒト-動物クローン胚)については、倫理委の統一見解を得られなかった。委員の半数は倫理的に認められないとして融合胚の作製・利用禁止を求めた一方、他の半数は「ヒト胚が使われているわけではなく、胚保護法に抵触しない」として禁止は行きすぎとの考えを表明したという。

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