欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/10/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

従業員の大半が移籍していれば事業譲渡、解雇は不当

この記事の要約

事業を廃止する場合は経営上の理由による整理解雇を実施できるのに対し、事業譲渡の場合は整理解雇できない。ただ、事業譲渡か事業廃止かが区別しにくいケースがある。これについては2011年6月1日号で一度、取り上げた。ここでは両 […]

事業を廃止する場合は経営上の理由による整理解雇を実施できるのに対し、事業譲渡の場合は整理解雇できない。ただ、事業譲渡か事業廃止かが区別しにくいケースがある。これについては2011年6月1日号で一度、取り上げた。ここでは両者の区別に関する判断基準をデュッセルドルフ州労働裁判所が9月28日に下した判決(訴訟番号:4 Sa 616/11、4 Sa 620/11、4 Sa 679/11、 4 Sa 894/11)に即してお伝えする。

\

裁判を起こしたのは清掃会社Aを解雇された従業員。同社は航空機清掃の大口受注を関連会社Bに奪われたことを受け、当該事業の廃止を決定した。その際、従業員の大半はB社に引き取られものの、一部の社員は整理解雇を通告されたため、これを不当として提訴した。

\

A社は解雇は事業廃止に基づくもので合法だと主張。これに対し原告社員は事業移管であり解雇は違法だと訴えていた。

\

デュッセルドルフ州裁判所はこの係争で、原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、◇A社が行ってきた全受託業務を当該部門の廃止直後からB社が行っている◇当該部門の従業員の大部分がB社に移籍した◇B社での業務方式はA社のものとほとんど変わらない――ことを指摘。事業がA社からB社に譲渡されたのは明らかだとの判断を示した。最高裁への上告は認めていない。

\